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ラテックスマットレスとは?
ラテックスマットレスは、パラゴムノキから採取された樹液を原材料に作られているマットレスです。
日本ではさほど一般的ではありませんが、ヨーロッパでは、廃棄時の環境負荷の軽減と、マットレスとしての性能の良さから80%もの使用率を誇っているともいわれています。
そこでここでは、ラテックスマットレスについて深堀してみたいと思います。
欧州でラテックスマットレスが主流になった理由
ヨーロッパなどを中心に人気のラテックスマットレスは、低反発マットレスとも高反発マットレスとも異なり、ソフトな柔らかさで体を包み込み、それでいてしっかりと体を支えることができるため、理想的な体圧分散、サポート力で快適な睡眠へと誘ってくれます。
もともとヨーロッパでもマットレスの主流は、金属コイルを使った「コイルスプリングマットレス」でした。
ところがコイルスプリングマットレスは、リサイクルに手間がかかる金属バネが使用されていることから、廃棄時の環境負荷が著しく高いことが問題視され始めました。
なんでもマットレスを破砕機に掛けると、刃がすぐにボロボロになり使いものにならなくなると言います。当然です、コイルマットレスのコイルは焼き入った鋼線ですからとても硬いです。
ということで、手作業で分解してジッパーやコイルなど金属を仕分けしリサイクルするわけですね。
つまり廃棄に手が掛かるということは、相当のエネルギーを消費しますから環境負荷が高いということになります。
環境問題に積極的に取り組んでいるヨーロッパでは、ベッドに使われる金属にも白羽の矢が立ち、1990年頃から金属を使わないメタルフリーなマットレスが増えてきました。
そして金属コイルは、電磁波と共鳴し身体に悪影響を与えるという研究結果も出たりして…が、こちらは未だ結論には至っていません。
たぶん、コイルマットレスを駆逐するために追加された方便ではないかとわたしは疑っています。
マットレスからコイルを抜くと如何せんクッション性やサポート性が悪いです。そこで出て来たのがウッドスプリングというベッドの床板方式です。
ウッドスプリングとは、ベッドの床板に使用するスラットを、やや湾曲させて板バネの機能を持たせたのもです。
そしてウッドスプリングと組み合わせたのが天然ゴム素材のラテックスマットレスです。ラテックスはゴムの木の樹液から作る天然素材ですから、環境にやさしいという分けです。
ウッドスプリングとラテックスマットレスの組み合わせにより、コイルマットレスに負けないクッション性を確保したのです。
つまり環境問題の勃発で、マットレスからコイルを抜いたためにノンコイルマットレスであるラッテクスマットレスが主流となったのです。
兎にも角にも、このような理由でヨーロッパではラテックスマットレスが推奨マットレスとなっているようです。
が、最近はウレタン系のハイブリッドマットレスも増えてきたようです。
もちろんコイルマットレスも全然使われていないわけではなく、20%ほどは販売量があるようです。
しかしこのように、ヨーロッパで推奨されているラテックスマットレスですが、日本では未ださほど認知されてはいません。
その理由は三つあると私は思っています。一つは日本ではベッドの普及率がまだ60%ほどでしかありません。
ですからマットレスの廃棄もそんなに多くはないということになります。
そしてつぎに、日本の気候風土です。日本はヨーロッパと違って高温多湿の国柄で、ラテックスマットレスよりも通気性が良いコイルマットレスが好まれるということになります。
三つ目はやはり価格の問題が大きいです。コイルマットレスですとノーブランドでしたら2~3万円も出せば買うことが出来ます。
しかしラテックスマットレスになりますと、天然もの100%になりますと10万円以上になります。しかもそれで、コイルマットレスよりは蒸れます。
ということで、コイルマットレスがいくら環境負荷が大きいと言っても、ラテックスマットレスが、コイルにとって変わるということ当分ないと私は考えます。
しかしです。ラテックスマットレスにも、マットレスとして良い面も多々あります。
ここからはラテックスマットレスについて深堀してみます。
まずはラテックスマットレスの歴史から紐解いてみましょう
ラテックスマットレスの歴史
ラテックスマットレスは、ゴムの木の樹液から作られています。このゴムの木は パラゴムノキとして知られています。
この木の乳白色の樹液(ラテックス)は、ラテックスのマットレスだけでなく、天然ゴムでできた多くのもの (手袋、カテーテル、風船、コンドーム、ホース、ベルト)など の主原料であるため、この木は現代社会に於いて経済的にも絶対に外せない重要な主原料となっています。
ゴムの木の生育場所
パラゴムノキの原産地は南アメリカで、フランスの遠征隊によって最初に発見されました。
その後、アジアのゴム農園で使用するために大量に輸出されました。
パラゴムノキは、豊富な降雨量、高温、高湿度、そして完全に霜が降りないような熱帯地域に生息します。
したがって、当然のことながら、東南アジアなど熱帯地方で主に見ることが出来ます。
パデュー大学は、ジャワ、スマトラ、マレーシア、インドネシア、タイ、スリランカがラテックスの主要生産国であると報告しています。
インド、赤道アフリカ、サラワク、およびビルマに加えて、南アメリカの熱帯雨林は少量のラテックスを生産します。
今日、世界の天然ゴムのほとんど (ほぼ 75%) は、マレーシア、タイ、インドネシアのプランテーションから来ています。
植民地主義による生産
パラゴムノキ の歴史を通じて、ブラジルでも生息していましたが、かの地には深刻な病気が存在し収穫が困難でした。
そのことからこれらの病気の集中した地域を逃れて、約200年前には東南アジアで集中栽培されることになりました。
それ以来、アジアの熱帯気候で繁栄し現在に至っています。
植民地政策と先住民社会との関係は搾取の歴史であり、ラテックスを搾取するということも暗い歴史の一部で、ゴム農園が伝統的な農業手段と生計手段と言っても未だ暗い影を落としています。
今日、起業家と自由貿易を望む地域社会は、持続可能なゴム農園を運営しており、先住民はその抽出作業で生計を立てています。
が、ラテックスは、1920 年代までフォームの製造に使用されませんでした。
ダンロップ社のEA マーフィーによる発明
ダンロップ社の英国人科学者である EA マーフィーは、1920 年代後半に最初のラテックス フォームを製造したと考えられています。
これにより、ラテックス マットレスの製造の可能性が開かれましたが、ラテックス マットレスを製造するために必要な気泡を作成する方法を理解するまでに、5 年間の研究と試行錯誤 が必要でした。
最終的に、マーフィーがラテックス マットレスの構造を思いついたのは、妻がケーキミキサーを使って作るケーキバターを攪拌しているのを見た瞬間です。
バターの代わりに、ラテックスを泡立てることを考えたとき、それはすぐにラテックスフォームに応用できると思いついたのでした.
マーフィーのコホート研究は、初期、誰もが彼の発見に特に感銘を受けなかったと言われましたが、彼の同僚が、フォームラテックスゴムの調合が達成でき、信じられないほどのクッション性と成形を目にしたとき、それはすぐに驚嘆に変わりました.
ケーキミキサーでホイップされたラテックスは大成功を収め、オートバイや自動車のシートクッション、後には飛行機のコックピットシートなどにすぐに使用されるようになりました。
その後、1931 年には、最初のラテックス マットレスが導入されました。
快適さに加えて、最初のラテックスマットレスは、ひっくり返したり向きを変えたりする必要がないため、時間を節約できるマットレスとして販売されました。
このようにダンロップ プロセスと呼ばれるラテックス製造の最初の形態により、ラテックス フォームが市場に導入されたのち、タラレイ兄弟がはるかに近代的で改良された製造方法を開発し、ラテックスフォームは新しい段階へとステップアップしました。
タラレイラテックス プロセスは、加熱処理前に材料を真空シールして急速冷凍することから始まります。ダンロップよりもセル構造が安定しているため、まとまり感があります。
このようにして、いまでは数千万、数億人もの人々が、天然ラテックス マットレスで寝ることのメリットを体験し、満足な寝心地を堪能しているということになります。
ラテックスの種類
ラテクスマットレスは大きく分けると、以下の3種類に分類されます。
天然ラテックス100%
最低限必要な凝固剤などの添加物を除いて、ゴムの樹液を100%使用して作られた純正のラテックスマットレス。
天然ラテックス
天然ラテックスは天然ゴムの保有量が80%以上のマットレス。
合成ラテックス
合成ラテックスは天然ゴムの保有量が80%以下のマットレス。
この3つに分類されます。
品質と性能、耐久性は当然ながら、天然ラテックス100%が上位で合成ラテックスは下位ということになります。
合成ラテックスは石油を原料として作られたゴムを用いてマットレスに形成しています。
天然ゴム100%のラテックスマットレスと比較すると、環境負荷が高く、製品的には耐久性が悪く、通気性も悪いため寝心地は劣ります。
ラテックスマットレスの長所と短所
テックスマットレスの長所と短所は以下の通りです
長所
1. 非常に快適。
究極のラテックスマットレスに初めて横になると、最初は柔らかい沈み込み感があり、すぐに浮力のあるサポート感が続きます。
これはラテックス本来の弾力性によるもので、着心地は抜群です。
2. 背中の痛みや関節の痛みを緩和
ラテックスマットレスは、背中の痛みや関節の痛みがある方に最適です。
整体師、理学療法士、カイロプラクターなど多くの医療専門家は、痛みを和らげるためにラテックスマットレスを推奨しています。
これは、ラテックスの快適性とクッション性、および背骨の自然な整列を促進する能力によるものです。
いずれにせよ、痛みが睡眠を妨げている場合は、ラテックスマットレスに切り替えるとかなり効果があります。
3. 自然な背骨の矯正。
ラテックスマットレスの大きなメリットは、適切な背骨の整列を促進する能力です。
肩や腰などの重い部分はラテックスに沈み込みますが、軽い部分は強力にサポートされ、背骨が自然に矯正されます。
背骨の自然な湾曲をサポートする機能は、体質改善と健康維持にとって大きなメリットであり、痛みを寄せ付けません。
さらに、テックスマットレスの優れた圧力分散により、血行が改善されます。
4. オールナチュラル。
ラテックスは、パラゴムノキの樹液から作られる天然物です。乳白色の樹液は、快適なフォーム マットレス ブロックに加工されます。
寝転がった時に感じる弾力は、もっぱらラテックスの自然な性質によるものです。
すべて天然由来であるため、他のマットレスとは異なり、ラテックス マットレスには有毒な化学物質や金属が存在することを心配する必要はありません。
5.カビやダニに対する自然な耐性。
ラテックスは、化学物質を一切使用せずに、自然に防カビ性と防ダニ性を備えています。
この要素だけでも、日本のような高温多湿な気候風土には大きなメリットとなります。
他のタイプの多くのマットレスはまったく耐性がなく、目に見えるカビの成長などの大きな問題が発生するか、耐性はあるが、刺激の強い化学物質が追加されているためだけです。
ダニやカビのいるマットレスでは寝たくないでしょうし、化学物質の雲の上で寝たいとは思わないでしょう。
したがって、ラテックスは自然に衛生的で健康的な睡眠環境にとって理想的な選択肢です。
6.アレルゲンフリー。
寝室のアレルギーの大部分は、実際にはイエダニやカビによって生成されたタンパク質に対する体の反応によって引き起こされています。
ラテックスマットレスはカビやダニに自然に耐性があるため、これらのアレルゲンは含まれていません。
したがって、一年中アレルギーに苦しんでいる人は、ラテックスマットレスが合っているかもしれません。
7. 環境にやさしいです。
100% 天然 ラテックスのマットレスを購入すると、ゴムの木の成長をサポートすることに繋がります。
ラテックスを含む樹液を採取するためにゴムの木を削っても、木が枯れることはありません。
したがって、ラテックスマットレスの製造は、ゴムの木の成長を促進します。
プランテーションは、その成長が持続可能であることを保証するために慎重に管理されています。
これらのプランテーションの木は空気中の二酸化炭素を除去するので、ラテックス マットレスを購入することで環境を助けることにもつながります。
これほど環境に配慮したマットレスは他にありません。他のすべてのタイプのマットレスは、多くの合成成分を必要とし、環境を助けるどころか害を及ぼします。
究極の環境への配慮を求める方には、天然ラテックス マットレスをお勧めします。
これは、特に環境に配慮しオーガニック製品に理解を示すユーザーや、赤ちゃんや幼児の親の間でますます人気が高まっています。
中でも有機ラテックスは、農薬を使用せずに栽培された 100% 天然ラテックスです。
オーガニック製品を選ぶかどうかにかかわらず、ラテックスマットレスを購入すれば、環境のために自分の役割を果たしていることは確かです。
8. 金属が入っていないので電磁波増幅しない
ラテックスマットレスは金属含有量がゼロであるため、欧州では、安全に眠りたい人の間で非常に人気があります。
対照的に、スプリング コイル マットレスの金属スプリングはアンテナのように電磁波を増幅すると考えられています。(欧州では)
これが事実だとすると、コイルマットレスは私たちの体が眠るのに適したマットレスではありません。
オープンセルとピンホールを備えたラテックスマットレスなら、高温多湿の夏が巡る環境でも比較的涼しく眠れます。
9. 優れた空気循環。
ラテックスは自然な連続気泡構造を持っているため、空気の流れが良好です。
さらに、ラテックスの処理中に一連のピンホールが追加され、これにより空気の流れがさらに増加します。
この優れた空気循環により、夜は涼しく眠ることができます。これは、高温多湿の夏が巡る日本の気候風土にも合致する性能です。
快適さに加えて、ラテックスマットレスの優れた空気循環のもう1つのメリットは衛生的です。
汗が残ったり、ラテックスマットレスを湿らせたりすることはありません。
10.動きが伝わりにくい。
ラテックスの自然な弾力性は、マットレスの片側の動きが反対側に伝わりにくいです。
つまり、パートナーと一緒に寝ると、動きが伝わる野蛮なマットレスよりもずっと快適で深く眠ることができます。
11. 耐久性に優れています。
ラテックスマットレスは、最も耐久性のあるタイプのマットレスです。
交換が必要になるまで、他のタイプのマットレスよりもはるかに長持ちします。
この高い耐久性が、ラテックスマットレスの所有者の満足度が高い理由の1つです。
短所
1.重い。
ラテックスマットレスは、平均して、他の多くのタイプのマットレスよりも重い傾向があります。
そうは言っても、すべてのマットレスは、充填する素材の種類と密度、厚さによって、重量が大きく異なります。
ただし、同じサイズ同じ厚さで比較すると、ラテックスマットレスは、移動または持ち上げるのに少し労力が必要になります。
ただし、市場に出回っている一般的なコイルマットレスだって、軽々振り回せるわけではありません。
マットレスを移動する必要があることはあまり頻繁に発生しないため、これは大きな欠点ではありません。
2. 高コスト。
ラテックスマットレスは、通常のスプリングコイルマットレスやポリウレタン (PU) フォームマットレスよりも高価です。
ただし、これは追加のコストが追加の価値を表す場合です。
ラテックス製のマットレスは耐久性が高く、古いマットレスを交換する頻度が減るため、コストの増加の一部が相殺されます。
もう 1 つの要因は、ラテックス マットレスが提供する大幅に改善されたパフォーマンスです。
ラテックスマットレスを使用すると、より快適な睡眠、より健康的な体のサポート、より衛生的な睡眠方法が得られます。
さらに、非常にハイエンドのスプリングコイルマットレスは、ラテックスマットレスよりも高価な可能性がありますが、ラテックスマットレスと比較して同様のパフォーマンスを提供するとは限りません。
まとめ
ラテックスマットレスはまだ圧倒的な支持を得ているわけではありません。
しかしコイルマットレスにはないメリットを多く含有しているいことは確かです。
日本にもし、環境問題が持ちがり、環境負荷を減らしたいとなれば、オーガニック製品のラテックスマットレスが一躍脚光を浴びるのは確かなようです。
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