ベッドの床板(とこいた)には様々な種類があります。
ベッドの仕様やタイプにより、板張り、すのこ板、ウッドスプリング、
メッシュ(アイアンベッド)などがあります。
ベッドの底板の役目は上に乗るマットレスや布団をしっかり支え、例えばマットレスでしたらその性能を100%引き出さなくてはなりません。
もしベッドの底板が薄くてふわふわと頼りなかったら、マットレスは丁度暖簾に腕押し状態になって踏ん張れない為、マットレスの性能が充分に出しきれません。
また通気性が全く削がれた仕様であったなら、上に乗せたマットレスや布団が湿気を帯び、カビる可能性もあります。
つまりベッドの床板の状態によっては、マットレスの寿命だって変わってしまいます。
ベッドの床板のしっかり感はそれほど大事なポイントということになります。
そこでここでは、様々なベッドの床板の仕様についてその特徴やメリットやデメリットなどを検証して見ましょう。
ベッドの構造について

ベッドフレームの構造
ベッドは基本的にヘッドボード、フットフレーム(フットボード)、サイドフレーム、床板、マットレス、脚の6つのパーツで構成されています。
このフレームの上にマットレスや敷布団を敷いて使います。それぞれ機能や形状、素材などに違いがあります。
それぞれの機能は以下の通りです。
フレームは一番の構造体です。ここがしっかりしていないと、フレームがたわみ安定して寝ることができません。床板を支えマットレスを支え、そして寝ている人を支えています。ベッドの中にはフレームと床板だけのタイプも多く販売されています。このパーツだけで寝るための最低限の機能が果たされているからです。
ヘッドボードは、昔は頭や肩を風から守るためでした。いまでもエアコンの空気に流れがある場合はそのように機能しています。
また棚がついているタイプ(宮付き)は、時計、眼鏡、スマホなど必要な小物置き場になりサイドテーブルが必要なくなります。
また枕を安定させ身を任せることもでき、壁との間を遮断して擦れから守ります。
フットフレームは今では一番多い仕様ですが、立ち上がっているフットボードになりますと、ヘッドボードのような足もとへの冷気を遮断する機能があります。
今では冷暖房が普及しているのでフットフレームタイプのほうが多いです。
今日のテーマである床板は、マットレスをしっかり支え、マットレスの機能を十分に発揮するためのものです。
ここがふわふわと頼りなかったら、マットレスが暖簾に腕押し状態になって、マットレスの機能が発揮されません。
また湿気が籠らないように通気性を確保する必要から、すのこ仕様が最も多くおよそ80%がこの仕様となっています。
ほかにもベッドにとって必要な付加価値をつけるために、桐材であるとか、パイン材とか、ヒノキなどいろいろな材料が使われています。
ちなみに桐材は、木の中で最も軽く、湿度調整や断熱性、防虫効果など木が持つ特性が生かされています。
他の材料もヒノキの香りの癒し効果などそれぞれの木が持つ特性が生かされたものとなっています。
脚はベッドの高さを決めるための大切な要素です。マットレス上面までの高さが35cm~45cmが最も寝起きがしやすい高さとされています。
そして床下に空間をつくり通気性を確保して床板のすのこを通し、マットレスや寝具を湿気から守ります。
また、高さを出来るだけ挙げてベッドの下に物を置けるようにした仕様もあります。
そして脚がないとベッドの下のお掃除ができません。
このように、これらのパーツが持つ役割などを把握しておくと、ベッド選びがしやすくなります。
ベッドの床板とは
ベッドの床板とは、その上にマットレスを載せる板のことです。
床板には、すのこ、スラット、総板張り、ウッドスプリングなどの種類があるため、それぞれの特徴などを解説します。
またアイアンパイプベッドでは板ではありませんが、金属製のネットタイプやメッシュタイプが木製ベッドの底板に当たります。
- すのこタイプ
- スラットタイプ
- 板張りタイプ
- ウッドスプリング
- 布張り床板タイプ
- 畳床板タイプ
- メッシュタイプ(パイプベッド)
すのこタイプ

すのこタイプ
すのこ状の底板が割と多いのは、日本の気候風土や、私たちが就寝中放出する汗の問題があるからです。
ベッドの底板に間隔を空け通気性を持たせるのは、高温多湿の夏を控える日本では必要不可欠といってよいものですね。
すのこは、太い木の角材(梁)に薄く狭い木の板を、間隔を開けて直角に打ち付けたものです。
すのこは、お風呂場の水切り目的で置くものや、押入れの収納物の「カビ防止」のために使用しています。
またすのこは色々なところに使われていて、営業倉庫等の保管のパレットも、木製、樹脂製を問わず通気性が良いすのこ仕様です。
すのこは通気性がよく蒸れないので、商品の長期保管には欠かせないものです。
先に申した通り、ベッドの底板が「すのこ」なのには訳があります。
それは第一に、通気性がよく蒸れにくいため高温多湿の日本の気候風土に最適な仕様だからです。
通気性が良ければカビやダニの発生を抑制できます。
そして隙間の分だけ軽く仕上げることができます。
メーカのストックする時や流通させる時のコストも削減できます。
幅広の板仕様の底板よりバラせば小さくなるからです。
メリット
・通気性に優れる
・カビやダニの発生を抑制する
・ベッドを軽くできる
デメリット
・仕様によっては破損する場合がある
スラットタイプ

スラットタイプ
スラットタイプも結構多く使われる仕様です。
すのこは板をうち付けてあり一体型ですが、スラットタイプは板が一枚一枚バラバラになっています。
その板をフレームの所定の位置(溝が切ってある場合もある)に置いて行きます。
敷き終わるとすのこのように見えます。
このタイプの良さは部材が細かいため移動には便利です。
ただしセットするのに、一枚一枚置いて行かなければならない為少々面倒です。
メリット
・通気性に優れる
・カビやダニの発生を抑制する
・ベッドを軽くできる
デメリット
・仕様によっては破損する場合がある
板張りタイプ

板張りタイプ
板張りはベッドの底板を隙間なく敷き詰めたものを言います。
といっても、ほとんどの場合、幅広の板を指が入り込むくらいの隙間を空けて敷き詰めます。
他には、二段ベッドなどに使われるパネル状の底板も板張りの一種です。
二段ベッドは、だいたい1台に2枚程度を敷きます。
形状はボードにクッション材を充填した布張りや、荒くした碁盤の目のように穴が開いているものも多いです。
また二段ベッドなどでは底板とマットレス一体型も売られています。
メリット
・頑丈である
・安定している
デメリット
・通気性がなく蒸れる
・カビが発生することがある
・ベッドが重くなる
ウッドスプリング

ウッドスプリング
ウッドスプリングはヨーロッパで主流の底板ですが、これはヨーロッパのベッド事情と深く関係しています。
日本では金属コイルマットレスが主流ですが、欧州ではウッドスプリングとラテックスマットレスが80%以上と言われています。
なぜウッドスプリングが主流なのか?
その理由は、ヨーロッパで金属スプリングマットレスが使われなくなったためと言われています。
金属スプリングを使わなければクッション性が損なわれます。反発力や耐久性が低下します。
それを補うためにウッドスプリングが発達したものと思われます。
では、なぜ金属スプリングが衰退したのか?
金属スプリングマットレスは廃棄とリサイクルがしにくいためです。
金属とウレタン、フェルト、生地など様々な素材からできている金属スプリングマットレスは廃棄とリサイクルのしにくいものです。
早くから環境に関心が集まっているヨーロッパでは、このために急速に脱金属スプリングマットレスになったものと思われます。
日本でも金属スプリングが破砕機の故障の原因になることから、今後処分が難しくなっていくのではないかと考えられますが未だ表立った動きはありません。
メリット
・通気性に優れる
・カビやダニの発生を抑制する
・ダブルクッション効果がある
デメリット
・高価である
布張り床板タイプ

布張り床板タイプ
安価なベッドに多いのが布張り床板です。布が張られていないものもあります。
通気性が低いためマットレスが湿気りやすい心配があります。が、構造がシンプルで安上がりなため安価なベッドの床板として採用されることが多いです。
湿気が心配な場合は、時々布団を剥いで空気に晒すと湿気が飛んでサラサラになります。
あるいは除湿シートを使用すると良いでしょう。
また、引き出し収納付きのベッドはその構造上、床板は張り床板、あるいは総板張りになります。
そうでないと収納物にホコリが入ってしまう恐れがあるからです。
メリット
・比較的安価
・当たりが柔らかい
デメリット
・通気性がなく湿気が溜まる
畳床板タイプ

畳床板タイプ
一般的に畳ベッドに用いられる床板です。が、畳がそのまま乗っているわけではありません。
布張り床板の上に畳が載せられています。通気性は低いですが畳によって調湿性があります。
畳床板タイプにはマットレスは使いません。敷布団を使い、朝になったら和室で寝ていたように布団を仕舞います。
畳が吸った湿気を布団を除けて吐き出させてやらないとカビてしまうためです。
畳ベッドのヘッドレスは、洋間の一角に小上がり的な「和が作れる」というので、お茶やお華を嗜む方に人気があります。
メリット
・湿度を調節してくれる
・保温性がある
・部屋が静かになる
・リラックスできる香り
デメリット
・ カビやすい
・ 劣化が早い
メッシュタイプ(パイプベッド)

メッシュタイプ(パイプベッド)
パイプベッドに多い仕様です。網目のネットをベッドの底に張っているので通気性は抜群です。
ですが欠点もあります。マットレスを敷かないで網目に乗ると変形し悪くすると破損します。
メリット
・通気性に優れる
・カビやダニの発生を抑制する
・安価である
デメリット
・木製と比べて耐久性に劣る
床板に使われる材質と特徴
ベッドの床板(すのこ)に使われる材料は)檜(ヒノキ)、桐(キリ)、杉(スギ)、パイン材、そして合板(ゴウバン)があります
それぞれの特徴は以下の通りです。
檜(ヒノキ)
ヒノキには吸放湿効果はもちろん、水に強く、消臭脱臭効果、ヒノキの香りによるリラックス効果、
抗菌防虫効果など様々なメリットがあります。
ヒノキは時がたつほど硬く丈夫になる素材です。それゆえたとえ中古でも総ヒノキ建の住宅は珍重されます。
ヒノキで作られたすのこベッドであれば、アレルギーなどがある人も安心して使用できます。
桐(キリ)
通販で売られているベッドにも多く使われている素材です。
桐は、昔からタンスなど家具の木材としてよく使用されています。
組織のなかに空気孔を持つため、断熱効果が高く結露もしません。
桐は呼吸をしています。湿度が高くなると膨張し湿気の侵入を防ぎ、乾燥すると収縮して通気性を良くします。
木材の中で最も軽く、狂いが少ない木材で、吸放湿にも優れている「すのこベッド」に最適な材質です。
杉(スギ)
こちらも木材で家具として頻繁に活用されている木材です。
木目がまっすぐで、空気を多く含むため断熱性に優れた杉は、住宅用建築材として広く用いられてきました。
すのこに適した吸放湿効果があり、杉は成長が早いため流通量が多く低価格で購入しやすい材質です。
パイン材
パインは日本名松のことです。
パイン材の特徴は木の香りでリラックス効果があります。
材質も柔らかいのが特徴です。
桐やヒノキと比較すると安価に手に入れることが出来ます。
合板(ゴウハン)
「合板(ごうはん)」とは、原木を大根の桂むきのように薄く剥いたもの(単板=Veneer)を乾燥させ、
単板の繊維方向(木目方向)を1枚ごとに直交させて、接着剤を塗布して積み重ねて貼り合わせたものです。
合板の特長は、木材は、軽い、断熱性や吸音性がある、調湿作用がある、香りが良い、温かみがある、加工しやすい素材であり、特に日本のような高温・多湿の環境では欠かせない材料として、古くから利用されてきました。
合板は、そんな木材の優れた特性をすべて備え、さらに木材の持ついくつかの欠点を製造技術で補正して、木材より強く、幅が広く、伸び縮みの少ない優れた材料に作り上げたものです。
まとめ
最後に、結論をいいますと、日本で使うベッドの仕様は「すのこ仕様」あるいは「スラット」がベストです。
高温多湿な日本で使うには、すのこベッドが最適であり最善です。
通気性をしっかりか確保して、カビやダニを抑制し、快適な睡眠を堪能しましょう!
すのこは薄い板のものから、分厚い頑丈なものまで幅があります。
薄く華奢なものは、その一枚の桟のない位置に乗ると破損の可能性があります。
すのこベッドを選ぶときは、できるだけ丈夫な仕様を選びましょう。
といっても私のベッドは、かなりまばらに置いたスラットでかなり華奢なものです。たしかに、桟のない位置に乗ると確実に折れてしまいそうです。
ですが、使い方さえ気を付ければベッドとしての耐久性は充分あるようです。わたしはこのベッドをもう20年以上何の問題もなく使っています。
ようは使い方です。ベッドの上で飛び跳ねたり、スラットの一枚に直に乗らなければ、破損なんてめったにしないものです。
それでも破損の心配がある方は、耐荷重の大きなすのこベッドを求めましょう。
今では、耐荷重500KGをこえる頑丈なすのこベッドも販売されています。
ただしこのような頑丈なすのこは、間隔も狭いため通気性はやや劣ります。